記事(コンテンツ)制作を始める上で、何から始めれば良いのか分からない方に向けて、本稿を書くことにしました。
筆者は、日頃IT企業の勤務し、Webメディア担当としてコンテンツ作成やユーザーの集客方法、SEO(検索エンジン最適化)について日々インプットし、どのようにメディアやプロダクトが成長できるか施策の立案・実行をしております。
そんな筆者ですが、公私含めると3回ほどWebメディアの立ち上げに参画したことがあり、コンテンツ制作のノウハウはある程度熟知している自負があります。
本稿で述べていることは、とりわけ目新しいことではなく、既存の手法に基づいた王道のやり方ではありますが、シンプルかつ実例をもとにまとめました。
コンテンツ制作のシンプルな考え方について
コンテンツ制作で欠かせないことは、コンセプト決めとペルソナ(人物像を具体化すること)の選定が何よりも重要だと筆者は考えています。
理由としては「誰に(WHO)・何を(WHAT)・どのように(HOW)」伝えるかを明確にすることで、顧客(ユーザー)のニーズを把握し、ストーリー性を持ってコンテンツを提供することができます。
このストーリーが明確にあることで、オリジナル性や価値のある情報発信ができ、ユーザーから評価される様なコンテンツ製作ができます。
本サイトで実施しているコンテンツ制作のフローをまとめました。
- コンセプト(記事を制作する上での指針となるもの、原点)
- SWOT分析(自身の特徴を客観的に分析)
- ペルソナ(ターゲットにするユーザーを具体的に設定)
- ニーズとシーズ(ユーザーが求めていることと自身が提供できることの接点を発見する)
- リサーチ(記事を制作するための情報収集、ニーズの調査)
- 記事制作(タイトル、見出し、本文の作成)
本稿では、具体的なコンセプトの立て方とターゲット(上記1〜3)をどのように決めていくかを紹介します。
コンセプト(存在意義と目的)を明確にする
会社に企業理念があるように、コンテンツ制作においても理念となるコンセプトを明確にする必要があります。
このコンセプトがあることで、伝えるべきターゲットを明確にすることができ、逆に言えばコンセプトが定まらなければ、ターゲット層が決まりません。
ターゲッチ層が決まれば、制作側がユーザーに与えられる価値やコンテンツの目的を明確にすることができます。
筆者が考えるWebライティングとは、「課題や悩みを持ったユーザーに対して、解決できる情報を意図的に提供している記事」と筆者は考えています。
そのためにはコンセプトを必ず定義し、客観的な分析とユーザーのペルソナ設定をする必要があります。
まず、コンセプトを定義するには、「存在意義」と「目的」をそれぞれ明文化することをおすすめします。
コンテンツの存在意義
コンテンツの存在意義とは、コンテンツ制作をする上での根幹となる考え方です。考えるときはずシンプルな言葉で明文化してみてください。
存在意義の定義は、企業であれば行動指針や部署の事業方針、チームであれば一緒に集まったきっかけ、個人であれば日頃感じていることなど、状況や立場において変わってきます。
例えば、本サイトの存在意義は、「誰かの0から1を始めるキッカケを提供すること」です。
筆者含め有志で集まった数人のチームで本サイトを運営していますが、「人をワクワクさせる様な面白いサービス、コンテンツを自分たちで手でゼロイチで作りたい」という想いがメンバーの共通認識としてありました。
この共通認識をサイトのコンセプトにそのままに反映し、「ゼロイチで何かを学びたい人のために、自分たちの強みを活かした、学びやキッカケを与えられるコンテンツを作ろう」という背景があり、存在意義が決まりました。
抽象的な言葉ではありますが、コンテンツ制作においては、あえて抽象的にコンセプトを明文化し、そこから目的や具体的なターゲット層を落とし込んでいく方が考えやすいと思います。
コンテンツの目的
続いて、メディアの目的ですが、ユーザーに対してどのような価値を提供するかを5つの項目(3W1H1F)で明文化します。
- WHO:誰に伝えるか
- WHAT:何を伝えるか
- WHERE:どのように認知するか
- HOW:どのような方法で伝えるか
- FEEL:どういう気持ちになって欲しいか
この5つの項目を明確にすることで、ユーザー目線に立ったコンテンツを提供できることができます。
誰に伝えるか(WHO):
- 行動に移そうと思っていても、中々行動に移せない人へ
- 社会人になってから仕事以外の新しいことに取り組めてない人へ
- これから何か新しいチャレンジをしようとする人へ
何を伝えるか(WHAT):
- これから何かを始める人に「共感」や「そういうこと知りたかった!」と思ってもらう
- ゼロイチで何かを始めたいと思っている人に、きっかけやノウハウを提供する
- 生活の知恵や人生をより豊かにするための情報を伝える
どのように認知するか(WHERE):
- 自然検索流入を増やす
- SNS流入を増やす
- 外部サイトから流入を増やす
どのような方法で伝えるか(HOW):
- 体験談や図解にして伝える
- 多くの人に見てもらえる様に検索流入を意識して作る
どんな気持ちになってほしいか(FEEL):
- SNSでいいね、シェアしたくなるような共感や納得感がある
- 自分の新しい可能性を発見し、人生の選択肢が広がったと思ってほしい
- なるほど!そうなんだ!という新しい学びがある
この存在意義と目的をそれぞれ明文化することで、コンセプトが決まります。
自身の特徴を可視化する:SWOT分析
コンセプトが大まかに決まった後は、自己分析をするために「SWOT分析」をおすすめします。
Strength(強み)、Weakness(弱み)、Oppotunity(機会)、Threat(驚異)のそれぞれの頭文字を取った造語で、自社サービスや商品開発、販売計画などを練るときに使われます。
- Strength(強み+):自身の強み
- Weakness(弱み-):自身の弱み
- Oppotunity(機会+):市場のトレンド
- Threat(驚異-):競合の存在
詳細については本稿では触れませんが、先ほどと同様本サイトを例にSWOT分析をしてみました。
Strength(強み)
・運営メンバーがそれぞれ得意とするジャンル、専門性(金融、キャリア、デザイン、IT、健康)があり、初心者にも分かりやすく説明ができる
・想定ターゲット層(20~30代)とメンバーが同世代のため、ユーザーの気持ちになって情報提供ができる
・Webメディア、マーケティング、ライティングに知見のあるメンバーがいる
Weakness(弱み)
・社会的知名度が全くない
・広告費用や外注費がかけられない
・記事を書ける時間が限られている(平日の夜、休日のみ)
Oppotunity(機会)
・若者の情報収集はテレビよりもインターネットが大半
・会社に縛られずに自分の力で生きていこうとする若者の増加(フリーランス、個人事業主の増加)
・副業や投資、健康に関心がある若い社会人の増加
Threat(驚異)
・類似競合メディアの増加
・アイディアの枯渇
・国内の若者層の減少
運営メンバーが全員20~30代という事もあり、近しい悩みを持つ同世代に向けて、体験談や独自で調査したことをコンテンツにすることで共感や納得感を得られるようにしました。
ターゲット層のイメージを明確にする:ペルソナ設定
続いて、ターゲット層の選定について説明します。対象となりうるユーザーがどんな人物像なのかコンテンツ制作の前に決めておく必要があります。
ごく当たり前な話ではありますが、ユーザーが求めている情報(ニーズ)に対して、適切な情報(シーズ)を提供するためです。
このニーズとシーズが上手くかみ合う接点を探すために、ユーザーをマニアックな部分まで設定を考えた架空のユーザー像を1人作り上げます。
この手法を「ペルソナ設定」と呼び、SWOT分析同様、多くの制作現場で使われています。
例えば、架空のユーザの氏名、年齢、性別、出身校、居住地、職業、勤務地、年収、家族構成、趣味、身体的特徴、性格、チャームポイント、日頃の消費行動、価値観などを具体的に決めます。
このペルソナは具体的であればあるほどユーザー視点に立った、ニーズに合うコンテンツを提供することができますので、しっかりと考えることをおすすめします。
また、筆者としては、ペルソナは1人ではなく、2人の人物像(潜在層、顕在層)を描くことで、よりターゲットが分かりやすくなると考えています。
顕在層
自分の課題を認識している人たち。ターゲットの求めている情報(類似商品との差別化や買い方、限定的な情報など)を、わかりやすく伝えることが効果的な層。
潜在層
自分の課題を認識できていない人たち。ターゲットが興味を持ちそうな情報を提供し、問題の理由、課題の特定、解決策の提案を通して顕在化させていくアプローチが効果的な層。
それぞれのパターンを描き、人物像を明確にすることで、それぞれの層にどの様なコンテンツを提供することが良いのか検討する
それでは、本サイトのペルソナの紹介をして本稿を締めくくりたいと思います。
まとめ
- コンテンツ制作で欠かせないことは、コンセプトとターゲット層の選定が重要
- コンセプトを定義するには、「存在意義」と「目的」をそれぞれ明文化する
- SWOT分析とは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Oppotunity(機会)、Threat(驚異)を明文化し、分析すること
- ユーザーが求めている情報(ニーズ)に対して、適切な情報(シーズ)を提供するために「ペルソナ設定」をする
- ペルソナ設定は、「顕在層」と「潜在層」をそれぞれ描き、コンテンツ制作をする
本稿では、コンセプト決めとペルソナ設定について本サイトの具体例を交えて説明しました。Webライティングは単なるSEO対策を目的としたコンテンツを提供するのではなく、ユーザーにとって価値のある内容を提供することが極意と考えています。