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確定申告のやり方:青色申告で迷うクリエイターのためのQ&A

クリエイターの皆さんの中には、個人事業主として活動されている方もいれば、会社員をやりながら定時後や休みの日に副業をされている方もいらっしゃるかと思います。

私も日頃会社勤めですが、自身のスキルアップも兼ねて副業をしております。

先日、副業に関して色々調べていたら、このような面白い記事を見つけました。

Lancersより:副業者のインタビュー集『The副業・複業ファイル』をリリース

コンテンツの中身もさることながら、私が気になったのは副業従事者の数が年々増え続けていること。

つまり、会社員で確定申告をしている人の数も年々増加していることを意味しています。

本業と副業を両立したり、たまたま副業をすることになったり、独立を目指して副業をしている方など、目的はさまざまかと思います。

本稿ではこのような方達に向けて、確定申告の予備知識がある前提で、確定申告のやり方をまとめましたので、ぜひご覧ください。

クリエイターの創作活動は『何所得』に該当するのか

イラストレイターとして生計を立てているデザイナーの方がいたとします。

企業もしくは個人から依頼されて、事業として生計を立てている方であれば、当然その収入は『事業所得』となります。

これが仮に会社員として請負の仕事で副業をしていれば『雑所得』となります。

この事業所得か雑所得かで確定申告のやり方が異なってきますので、ご自身がどちらに該当するか注意した方が良いです。

個人事業は『事業所得』。会社員の副業は『雑所得』として判断されるケースが多いです。

さて、この判断が必要となるのは他に収入があり、創作活動だけでは生計を立てることができず会社勤めやアルバイト等を行って生計を立てているケースです。

ご本人からすると創作活動が本業であり、会社勤めやアルバイトは副業だ!と思っている場合でも、税法上はそれが事業所得となるとは限りません。

事業所得として認められるかどうかは、税務署側が次のような要件を満たしているかどうかが総合的に判断されます。

  1. その経済活動が、自己の危険と計算において行われており、独立性、営利性、有償性を有しているか
  2. 反復継続して営まれる業務であるか
  3. 精神的あるいは肉体的労力の程度や人的・物的設備があるか
  4. 生活の状況などを考慮して社会通念上事業と認められるか

事業所得として認めら得ない場合、創作活動による収入は雑所得となります。

雑所得については、赤字を繰り越せなかったり『青色申告特別控除』を受けることができないなど事業所得の場合に比べると所得税額の計算が不利となっています。

青色申告の特別控除は最低10万から最高65万まで控除を受けることができるため、個人で事業をやっている方からすると大変ありがたい制度となっています。

例えば、企業から請け負った仕事をアシスタントやアルバイトの方に任せた場合も雑所得、事業所得でそれぞれ分かれます。

結論、雇用契約の場合は『給与所得』になり、業務委託や請負契約の場合は雑所得や事業所得になります。

また、雇い主からすると雇用契約の場合は給与、業務委託や請負契約の場合は外注費として『必要経費』になります。

雇い主からすると税金対策や労働基準の面から、給与として支払うよりも外注費として支払った方が色々と都合が良いです。

ただし、契約上は委託や請負という形を取る事が多いのですが、考えることは皆さん同じなため、税務上は実態から所得の区分を判断されることがあります。

契約上は請負の仕事で外注費として報酬を支払っていたが、税務調査の結果、その報酬は給与になると判断されることもありますので、注意してください。

個人事業は『青色申告』と言われているが…?

青色申告については先ほども述べましたが、控除枠が適当されますので、個人で開業届を出されている方は青色申告用の必要書類をいくつか出せばクリアできます。

ただし、会社員でありながら青色申告をする場合はいくつかのハードルがありますので、整理しておきます。

そもそも青色申告の特別控除枠を満たすには

最高65万の控除を受けるには、以下のような要件を満たせば問題ないとされています。

  1. 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
  2. これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
  3. 上記の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出すること。

ただし、現金主義(現金の入出金日に収益や費用を認識する方法)を選択している場合は65万円控除を受けることができません。

そもそも現金主義によろうとする場合はあらかじめ届出しておく必要がありますが、届出の有無に関わらず現金主義で処理していれば、税務調査で発生主義で処理していない事を理由に65万円控除が否認されることもあります。

税務署の調査の結果、事業所得ではなく、雑所得として判断されたら、青色申告控除を受け取ることはできません!

青色か白色で申告する利益の目安とは?

結論、確定申告は全てが自己申告になりますので、事業所得か雑所得かで申告するのは各々の自由です。

所得区分 働く形態 収入・所得金額 継続・安定的に発生
給与所得 指揮命令をうける仕事 副業でも誰かに指揮監督を受ける場合は給与となります(例:コンビニのアルバイト等)
雑所得 自己責任 副業収入だけでは生活できない 不安定
事業所得 自己責任 副業収入だけで生活できる 継続・安定的に発生

上の表は給与所得、雑所得、事業所得を判断するときの項目と中身になりますが、開業届を出して安心して青色申告をするには月最低5万円に利益が必要だと私は考えています。

仮に副業で5万以上の利益が安定的に出せるようになってきた方は、開業届を出して個人事業主となり、65万の控除枠を受け取ることをオススメします。

月2~5万未満であれば前向きに個人事業主の検討はしても良いとですが、一旦は雑所得の白色申告で良いと思います。

まとめ

  • 事業として生計を立てていれば、その収入は『事業所得』。これが仮に会社員として請負の仕事で副業をしていれば『雑所得』となる
  • 最終的には税務署の判断となるが、事業所得として認めら得ない場合、創作活動による収入は雑所得となる
  • 雑所得の場合は、『青色申告特別控除』を受けることができないため、事業所得の場合に比べると所得税額の計算が不利
  • 雇用契約の場合は『給与所得』になり、業務委託や請負契約の場合は雑所得や事業所得になる
  • 雇い主からすると税金対策や労働基準の面から、給与として支払うよりも外注費として支払った方が色々と都合が良い
  • 青色申告を選択したくても、現金主義(現金の入出金日に収益や費用を認識する方法)を選択している場合は65万円控除を受けることができない
  • 副業で5万以上の利益が安定的に出せている方は、会社員でも開業届を出して、65万控除枠の青色申告をすべき

 

本稿では、少し変わった切り口で、クリエイター(主に副業をしている会社員)の方に向けて確定申告のやり方を説明しました。

会社勤めの方は、会社員の恩恵でもある年末調整のおかげで税金の心配をする必要はほぼありませんが、副業従事者が年々増え続けている背景から確定申告がより身近になってきていると思います。

これから副業をはじめて、ご自身のスキルアップや給与以外でお金が欲しいと考えている皆さんは正しい確定申告の知識を得てから、お好きな副業をはじめてみてはいかがでしょうか。