新しい商品やサービスの企画開発、新規事業を起こすときは、始めに市場調査・マーケティングリサーチをします。
消費者のニーズや世の中トレンドを把握し、見つけた規則性やカテゴライズした情報をもとに戦略をたてます。
市場調査の難しいところは、正解がないことです。ゼロからインターネットサービスを作る場合は、必要最低限の機能だけ使えるようにし、ユーザーに公開してテストを繰り返しながら、改善していくケースが多いです。
しかし、開発工数が大きい商品(食品や精密機器など)の場合は、テストをしながら都度改善をすることが難しいです。
そのため、ユーザーがどのようなときにどういうきっかけで商品・サービスを使いたくなるかを細かく分析する必要があります。
市場調査の結果をもとに、トライアンドエラーを繰り返しながらサービスをより良いものに改善していきます。
市場調査・マーケティングリサーチとは
市場調査は、マーケティングリサーチの一部とも言われています。
日本では同じ意味に使われることが多いですが、厳密に言えば市場調査はデータや数値で現在の市場動向を知るのに対し、マーケティングリサーチではもっと広義的に、未来の市場動向に対しても予測や分析、考察を行うことを指します。
また、一部の専門書では、「市場調査は統計学的に、マーケティングリサーチは国語的に市場を検証すること」だとも説明しています。(本稿では、同意義です。)
そもそも市場調査・マーケティングリサーチを行う理由ですが、調べたい対象や市場の違いで調査のタイミングや抽出したいデータ、目標など様々です。
- 「なぜ調査を行うのか」
- 「誰を対象に調査するのか」
- 「調査で何を明らかにすべきか」
- 「どのような手法で実施すべきか」
- 「具体的に何を聞くのか」
- 「どのぐらいのサンプル数を回収するのか」
市場調査・マーケティングリサーチの流れ
それでは、市場調査・マーケティングリサーチの流れを簡単に説明します。
上図のように4つのフローに分けて考えると理解しやすいと思います。
1.問題(課題)と目的設定:現状の問題点を洗い出し、調査目的を設定する
目的をまず定める必要があります。何のための市場調査であるかを明確化し、何が分かったらゴールとすべきかを先に決めておく必要があります。
それが分かれば必要に応じた調査方法を実施するのみです。
- 現状分析
- 競合分析
- 市場におけるポジショニングなど
2.仮説の構築:調査方法と調査期間を決定する
調査方法を明確化するにあたり、ある程度の仮説が必要です。
- サンプルA(B)が抽出できたら施策A(B)を実施する
- 既存ユーザーの消費行動が〇〇という結果になったら、施策Aを検討する
- 媒体Aであれば、媒体Bよりも訴求したいユーザー層にもっとも近いため、記事出稿を検討する
- すでにAの市場は競合他社が多く、レッドオーシャンだが、Bの市場はニッチだがブルーオーシャンで参入障壁が低い
このように施策を実施する上で、予測を立てて試算値を出す必要があります。
3.調査実施(定量調査・定性調査):調査を実施する
仮説がある程度決まり、実際に調査を行います。
定量調査や定性調査と呼ばれる代表的な調査方法がありますが、調査を実施する前に重要なことはKPIを明らかにすることです。
調査をする=知りたいデータがある、ということですので、どういうデータを知れたらどのようなアクションを取るかは明確にした方が良いです。
そのためにはKPIを予め設定して、調査内容の軸がブレないように気をつけてください。
4.情報分析:調査結果を分析し、レポートを作成する
調査結果をまとめて、レポート化する必要があります。
基本的にはExcelやGoogle Spredseetに調査内容まとめて、グラフ化したり、傾向を探ります。
市場調査の目的に応じてレポートのまとめ方は変わってきますが、私の場合はGoogle Spredsheetにまとめて、Data Studio Product Overviewにデータをグラフ化することが多いです。
定性調査と定量調査について
市場調査の代表とも言えるのが、『定性調査』と『定量調査』です。
- 定性調査:顧客の個人的な意見を収集し、商品・サービスの購入に至った経緯などを詳細に分析する手法
- 定量調査:広く消費者から意見を収集し、それを数値的(定量的)に分析し、全体の傾向を掴む手法
現場でこの定性調査と定量調査を、いつどのように使うのか迷う場面をたまに見かけます。
結論、市場調査の根本は消費者であるユーザーについて理解し、戦略を立てることです。企画・開発中のサービスが世に出ているかどうか、すでにリリース済みでサービスにファンがついているのかどうかによって具体的な手法が変わってきます。
上図はA~Dに調査方法をカテゴライズしたイメージになります。基本的には、この4つをおさえておけば基本的な市場調査を実施することができます。
- 潜在ニーズ×定性調査
- 潜在ニーズ×定量調査
- 顕在ニーズ×定性調査
- 顕在ニーズ×定量調査
定性調査の具体例について
定性調査で有効とされている方法について説明します。数値で見るというよりは、キーワードや世の中のトレンドを追う時に定性調査が必要です。
消費者の潜在ニーズを知る場合は、以下3つが代表的です。
- トレンド分析
- ユーザーインタビュー
- グループインタビュー
消費者の顕在ニーズを知りたい場合は、以下の3つが代表的です。
- 行動マッピング
- ユーザービリティテスト
- サイト内検索分析
定量調査の具体例について
続いて、定量調査で有効とされている方法についてですが、いわゆるデータアナリストやマケーターが得意とする領域です。
定量的なデータを駆使して、市場の流れを発見して、調査内容に根拠を持たせることができます。
消費者の潜在ニーズを知る場合は、以下の3つが代表的です。
- キーワード調査
- データマイニング
- ビッグーデータ分析
消費者の潜在ニーズを知る場合は、以下の3つが代表的です。
- アンケート調査
- アクセスログ解析
- ABテスト
定性、定量調査の図解、代表的な手法について説明しました。続いては、実践的に使える市場調査のツールを紹介します。
市場調査・マーケティングリサーチに役立つツール
では、定性調査・定量調査をそれぞれ行う時に便利な無料ツールを紹介して本稿を締めようと思います。
定性調査で使えるツール
- トレンド分析:趣味・嗜好、世代別、年齢、性別などをカテゴライズして、世の中の消費傾向を調査する方法
Googleトレンド
Googleが提供する無料ツールです。キーワードを入力するとそのキーワードがどれだけ人気があるかグラフで見ることができます。
検索エンジン経由で急上昇キーワードが見れます。国内だけでなく、世界各国のキーワードも検索できます。
博報堂・生活起点
1992年から現在までの生活者の意識や行動の変化から将来の価値観や欲求の行方を予測するため、同じ条件の調査地域・調査対象者に対し、同じ質問を繰り返し投げかける時系列観測調査がまとまっているサイトです。
大手広告代理店である博報堂さんが運営していることもあり、データの信憑性の高さや新しい発見が詰まったコンテンツが多いです。
総務省統計局
総務省が作成している、人口や住宅・土地、社会生活、企業、家系、物価などの統計データや消費実態のデータが集約されています。
定量調査で使えるツール
- キーワード調査:検索エンジン内で検索されているキーワード数やどんなキーワオが人気かを調べる調査方法
キーワードプランナー
マーケターがよく使うGoogleが提供する無料ツールです。上記で説明したGoogleトレンドと違い、こちらはキーワードを入力すると月間でどれだけの検索数があったかを調査することができます。
キーワードの検索数が分かることで、それだけ消費者が注目している母数がわかりますので、コンテンツを作る時に役立ちます。
NEILPATEL
キーワードプランナーと同様の使い方ができますが、キーワード調査だけでなく、自社サイトのSEOの実績値などが全て無料で使えます。
自社サイトをある程度運用して、どのように成長させて良いか迷った時に新しい発見ができるかもしれないツールです。
まとめ
- 市場調査はデータや数値で現在の市場動向を知るのに対し、マーケティングリサーチではもっと広義的に、未来の市場動向に対しても予測や分析、考察を行うことを指し
- 定性調査:顧客の個人的な意見を収集し、商品・サービスの購入に至った経緯などを詳細に分析する手法
- 定量調査:広く消費者から意見を収集し、それを数値的(定量的)に分析し、全体の傾向を掴む手法
- 定性調査か定量調査をするときは、潜在ニーズ×定性調査、潜在ニーズ×定量調査、顕在ニーズ×定性調査、顕在ニーズ×定量調査の4つに分解して調査する
市場調査・マーケティングリサーチについてプランニングの立て方から実施方法までの流れを説明しました。
冒頭でも言いましたが、市場調査には正解がありませんし、調査結果を鵜呑みにしぎるのはよくないと私は考えてます。
あくまで何かを知りたい時や市場の規模感、競合他社の状況を知りたい時に有効な手段です。
市場調査を目的にしないよう、KPIやKGIと照らし合わせながら本当にやりべきことに注力することが大切です。
[…] 市場調査・マーケティングリサーチのやり方:定性調査と定量調査の具体例を図解(ZEROONE) https://zero-one.media/article/1012/#i-2 […]
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