私は日頃ITの事業会社でWebディレクターをしておりますが、プロジェクトでこんな場面に遭遇しました。
事業責任者
マーケ担当
事業責任者
マーケ担当
事業責任者
マーケ担当
事業責任者
このようにマーケティング施策後に数値の分析(数字報告)だけで終わり、次のアクション(施策)に落とし込めていなかったため、本質的な解決策が見出せていなかった状態でした。典型的に正しいWebマーケティングが実施できていなかった事例です。
Webマーケティングにおいて最も重要なことは「KPI(重要達成度目標)をたて、その目標を達成するために必要な施策を戦略的に行うこと。もしくはその仕組みを作ること」と考えています。一時的な施策で終わらせず、継続的に効果改善をすることがWebマーケティングの真髄です。
特にIT化が進む昨今、ここ数年で多くのマーケティング手法が誕生してきました。勤務する会社や部署、扱うサービス、事業モデルによってWebマーケィングの施策は多種多様にあります。
ひとことで「Webマーケティングとは〇〇である!」とは言えないため、体系的にWebマーケティングを理解してから、適切なPDCAを検討することが有効だと思います。
本稿は、初心者の方にもわかりやすいように図解で説明していますので、Webマーケティングの全体像を体系的に把握して、基本を理解されたい方はぜひご覧ください。
1.そもそもWebマーケティングとは何か
Webマーケティングの定義について
Webマーケティングとは何なのか?おそらくプロのマーケターの方でも人それぞれ違うことを答えると思います。
難しく考えず『Web + マーケティング』でそれぞれ分けて考えてます。マーケティングの定義ついては、こちらの記事でもふれていますが、『売れる仕組みを戦略的に作ること』です。
つまり、Webマーケティングを端的に言うと『Webを使って売れる仕組みを戦略的に作ること』です。
例えばSNS(Twitter,Instagram,Facebookなど)で投稿を見ていると、たまに広告が出てきますが、それもWebマーケティングの施策の一部です。
ユーザーが目に触れるデバイスやサービスに広告枠を設け、ユーザーの反応を見ながら如何にして自社のサービスを見てもらうか、買ってもらうかを検討しています。
Webマーケティングが優れているポイント
例えば、サービスを宣伝するためにAとBの施策をそれぞれ行なったとします。
- Aの施策:想定するユーザーが会社からの帰宅時間であろう平日19:00に『アプリのプッシュ通知』を送信する
- Bの施策:想定するユーザーが就寝するであろう休日24:00の10分前に『メルマガ』を送信する
どちらの施策もユーザーの反応を見ることができます。
効果測定の結果をもとに、送る時間帯が問題だったのか、動線がいけなかったのか、そもそも違う施策の方がよかったのかが顕著に数字で分かります。
中長期的に戦略を練れるか
Webマーケティングの施策を練るときに目的と時間の2軸で考えられることが多いです。
- SNSを使ってユーザーで関係性を作り、短期集中キャンペーンで購入(コンバージョン)を促進する
- 中長期的に関係性を築いてきたファンユーザーに対して、優待特典のようなサービスを提供し、より継続的にサービスを利用してもらう
- SEO(検索エンジン最適化)を利用して、ユーザーのニーズに合ったコンテンツを提供し、サービスの動線を確保する
2.Webマーケティングの全体像をつかむ
それではWebマーケティングの全体像を掴んでいただくためにイメージ図を用意しました。
基本的な流れとしては、調査分析、戦略立案、認知集客、獲得、ロイヤル化、共有になります。特に認知集客からロイヤル化にするまで、どのステップでどの施策をうつかはターゲット層によって異なります。
3.Webマーケティングでよく使われるKPI・解析指標の基本
よくKPI(重要達成度目標)を現場では考えますが、断片的ではなくKPIも全体像を把握することで理解しやすいです。マーケティングだけでなく営業との指標を重ね合わせたイメージ図がこちらになります。
ポイントはメディアやサービスへ集客した後にユーザーをどのようにしたいかが重要です。商品を買わせたいのか、リピーターになってもらいたいのか、他のユーザーにも共有してもらいたいのか。
ユーザーをどうしたいかによって、KPIやKPIに基づく施策が異なってきます。それでは基本的な6つの指標を説明します。
PV
Web界隈では知らない方はいないと思いますが、PVと言えば「ページビュー:Webサイト内で閲覧されたWebページの数」のことです。
UU
PVと同様、セットでよく使われるくらい重要な指標になるのが「UU:ユーザー数」です。
もっと厳密に言うと、閲覧に使われたブラウザ(ChromeやFirefox、Safariなど)数を刺します。
例えば、とあるWebサイトの1ヶ月のPV数が1,000万PVと仮定した場合、実際にそのサイトに訪問したユーザーは500万人でした。
この場合、1人あたり2ページの閲覧(PV)があったという計算になります。
現場では、PVよりもUUの向上を重要視されます!
セッション数
実際にそのユーザーがどれくらい訪問したかを知る指標として「セッション数:訪問回数」があります。
例えば、同一のユーザーが1ヶ月に同じWebサイトへ8回訪問した場合は、8セッションとなります。ただし、UUにした場合は1UUになります。
例えば『1人あたりのセッション数(1ヶ月)』と呼ばれる指標は、UUで割って算出します。
つまり、1ユーザーあたりの平均訪問回数がわかりますので、2セッションを下回るということは、2回目の再訪問がされてないWebサイトということになります。
セッション数でリピーターの多さがわかります!
CVR(コンバージョン率)
サービス・商品の購入や申し込み、資料請求などサイトによって異なりますが、ゴールとなる指標が『CVR:コンバージョン数(購入数、申込数など)』になります。
例えば、このような計算式で算出することができます。
- ECサイトのCVR:購入件数 ÷ セッション数
- 資料請求サイトのCVR:資料請求件数 ÷ UU数
CVRを算出する上で迷うのが、母数をUUかセッション数にするかです。どちらも間違いではないですが、施策の効果を正当に評価できるかで変わってきます。
このCVRをあげる施策は、Webサイトによって異なりますが、下記のような施策をうつことが多いです。
- サイトのナビゲーションやUIで迷わないようにする
- 購入フォームを改善する
- サービスの価格を安くする
- ポイントやサービス特典など優待を付与する
- 動線をわかりやすくする
CTR(Click Through Rate)
ユーザーからクリックされた数が母数に対してどれだけの割合かを示した指標が『CTR:クリック数』です。
バナー広告やメールマガジン、記事の出稿などによく使われる指標になります。
こちらの指標もCVRと同様、目的やWebサイトによって母数が異なってきますので、下記に算出方法を表します。
- リスティング広告・バナー広告のCTR:クリック数 ÷ 表示回数(インプレッション数)
- メールマガジンのCTR:クリック数 ÷ 配信者数もしくは開封者数
- 記事出稿のCTR:クリック数 ÷ 出稿先のページのPV
CPA(Cost Per Acquisition)
事業責任者や予算管理をする立場の方は、かけた広告費に対してどれだけの成果があったのか知りたいので、その指標としてCPAがあります。
ECサイトであれば、1ユーザーが商品を購入するためにいくらかかったのか、資料請求であれば、資料を送付するためのリスト1件獲得するためにいくらの費用をかけたのか、ということになります。
CPAの基準は、業種、業態、扱う商材、ユーザーの種類(新規か既存か)によっても目安が異なってきます。
一般的に高いとされているのが、契約商材と言われる保険やエステ、クレジットカードなどは一万円以上のCPAも珍しくありません。
4.現場で使えるWebマーケティングの施策の立て方
それでは実際の現場で使える基本的なWebマーケィング施策の立て方について紹介をして、本稿を締めようと思います。
- プランニングの基本
- チャネルの選定
- ターゲティングの設定(ここが一番重要)
- 訴求するタイミング
上記4つのマーケティング施策は『Web広告』における施策の立て方になります。
プランニングの基本
プランニングの基本ですが、以下2つは必ず意識をして施策を立ててください。
- 誰に:リーチしたいユーザー層
- 何をしてもらいたいのか:獲得か認知か
例えば、上記2つの内容が以下のような施策だと仮定します。
- 誰に:自社商品を知らない、使ったことがないユーザー
- 何をしてもらいたいのか:商品の購入
単純ですが、意外と「誰に」「何をしてもらいたいのか」の整合性が取れておらず、施策が失敗するケースもあります。
どのようなユーザーに訴求したいのはかが不明確だと本当に適切なマーケティング施策とは言えません。
続いて、「どこで」「どう伝えるか」も重要です。ターケティング設定をして、ターゲットに響くポイントや競合との差別化ポイント意識する必要があります。
- どこで:どのチャネル(場所)でリーチするか
- どう伝えるか:訴求ポイントやクリエティブ訴求(ユーザーが思わず気になってしまうようなタイトルやコンテンツなど)
チャネルの選定
チャネルの選定をする際はどのターゲットに訴求するかで施策も変わってきます。
- 非認知層:商品のことを全く知らないユーザー
- 潜在層:商品のこと知っているが使ったことがないユーザー
- 顕在層:商品のことを知っていて、必要性を感じているユーザー
この3つにターゲットを分類した時、上から獲得の難易度が高いユーザーになります。
では、これらのターゲット層に合わせたチャネルの分類が下図になります。
ターケティングの設定(ここが一番重要)
ターゲットの設定は、先ほどの非認知層、潜在層、顕在層、リピーターのいずれかに該当するユーザーにターゲティングを絞る必要があります。
訴求するタイミング
ターゲットの選定が決まり、どういったターゲットなのかをより深堀するために『ペルソナ』を用いて現場では議論することが多いです。
訴求タイミングはペルソナの特性に合わせて決めます。このペルソナをモデルに『ユーザーストーリー』を検討します。
モチベーションと時間軸の2つの観点で考え、ペルソナがどういうアクションをすると、どういう感情になるのかを、1つのストーリーとして考えます。
このタイミングを見極め、最適なチャネルでポイント訴求します。
ペルソナの基本的な流入経路が分かれば、あとは具体的にどのように集客し、コンバージョンさせるかを考えます。
自社で扱うサービスや商品にもよりますが、最近では公式SNS(特にTwitter)を開設して、一般ユーザーと積極的にコミュニケーションを取り、コミュニティ性を高める動きがここ数年で強くなってきています。
個人であればオンラインサロンを開いて、ファンと定期的に交流を持ちながら、リピーターになってもらうことがゴールです。
まとめ
- Webbマーケティングは『Webを使って売れる仕組みを戦略的に作ること』
- Webマーケティングで重要なことは、『KPI(重要達成度目標)をたて、その目標を達成するために必要な施策を戦略的に行うこと。もしくはその仕組みを作ること』
- Webマーケティングの基本的な解析指標として、PV、UU、セッション数、CVR、CTR、CPAがある
- Webマーケティングの基本的な施策は『チャネルの選定』『ターゲティングの設定』『訴求するタイミング』
- 最近では、SNSでユーザーと積極的にコミュニケーションを取り、コミュニティ性を高める動きが強くなってきている
具体的な施策と言うよりは、全体像を掴んでいただくためにWebマーケティングの基礎を説明をしました。
スマートフォンが誕生した2010年頃からWebマーケティングのやり方は大きな変化を遂げてきました。
正直なところマーケティングは正解がないため、目標達成のために最適な方法を見つける手段でしかないです。
たまに手段が目的になってしまうケース(ペルソナをとりあえず作るなど)もありますので、正確な目標設定をした上で施策を試みる必要があります。
Webマーケティングを学ぶ方への一助となれば幸いです。