「マーケティングや企画の立て方について知りたいです!」
「マーケティングって具体的にどんなことするんですか?」
企画・マーケティング職に憧れを抱く、新社会人や就活生の皆さんの多くはこのように思っているのではないでしょうか?
事実、就職や転職市場においても企画・マーケティングのスキルを持っている方は企業からの需要も高く、人気職種です。
そんな花形とも言われるマーケティング職ですが、いざ業務として携わると企業や組織によって求められるスキルや裁量は様々です。
ごく当たり前ですが、企業や組織がそれぞれ描くビジョンや事業モデルが違うため、戦略の立て方やアプローチの仕方は、多種多様にあります。
マーケティングに関して色々な定義付けがされていますが、私が考えるマーケティングとは?は『売れる仕組みを戦略的に作ること』です。
単に自社の商品を顧客に宣伝すれば良いという訳ではなく、商品を継続的に使ってもらうために、売れる仕組みを戦略的に考え、実行することが企画・マーケティング職に求められる共通のスキルだと考えています。
本稿では、そんなマーケティングの基本的な考え方や戦略の立て方、アウトプットの仕方について説明します。
『マーケティングの教科書』としてこれからマーケティングをゼロから学びたい方にとってお役に立てれば幸いです。
シンプルにマーケティングを考えてみよう
早速ですが、もしあなたが企画・マーケティング職として自社の新商品を売るための戦略を練ることになった場合、最初に何をしますでしょうか?
- 顧客のニーズを聞き出してから、どのタイミングでどのように宣伝するか決める
- 事業目標と照らし合わせて、チーム内で戦略を練ってから、最善の手法を探す
- SNSを駆使して、ユーザーに共感してもらえるコンテンツを配信する
- ターゲット層が見ていそうな時間帯にマス広告やネット広告で宣伝する
- オウンドメディアを作って、自社の商品を紹介した動画やコンテンツを提供する
上記はあくまで例ですが、どれも考え方としては間違ってはいません。ただし、状況に応じてどの段階でどの施策を実行するかは変わってきます。
マーケティングをシンプルに細分化すると下記6つの項目を戦略的に考える必要があります。
- どうしたいか(目標設定)
- 誰に(ターゲット)
- 何を(商品)
- いつ(タイミング)
- どうやって(表現、手法、企画)
- どこで(コンタクトポイント)
ターゲット層と商品が同じでも、どのタイミングでどこで、どうやって届けるかによって、事業性も大きく左右されます。
コメント
戦略のあるマーケティングとは何か
そもそも戦略って?
マーケティングについて簡単にご理解頂いたところで、戦略についてもふれておきます。
私が考える戦略とは?は「目標達成に向けて最善かつ最適な道すじを明確にし、実行すること」です。
戦略があることで、現在から目標達成のプロセスを策定し、その施策が成功すればノウハウとして自社や自分自身の資産にもなります。
戦略がないとその場しのぎの施策ができず、目標達成が難しいです。
思い描く通りに事業計画が進むことは滅多にありませんが、勝率をあげるために戦略は必要不可欠です。
戦略の種類
今では色々な戦略が定義づけされており、ビジネスの場でも多く活用されています。
ビジネスにおける代表的なマーケティングの主要戦略の紹介をします。市場分析や商品、ターゲット層によって、状況に応じて使い分ける必要があります。
主要戦略の種類 | 内容 |
ニッチ戦略 | ・大手企業が乗り出してない分野や、競合が注目していないような分野をねらって進出しようという戦略
・ニッチ戦略をとる企業をニッチャーという。いわゆる「隙間産業」 |
ブルー・オーシャン戦略 | ・競争の激しい既存市場を「レッド・オーシャン」とし、競争のない未開拓市場である「ブルー・オーシャン」を切り開くべきだと説く戦略
・顧客にとって重要ではない機能を「減らす」ことで、企業と顧客の両方に対する価値を向上させる「バリューイノベーション」が必要 |
ランチェスター戦略 | ・人数が同じ場合には、1人あたりの能力が高い方が勝ち(第1の法則)、1人あたりの能力が変わらなければ、人数が多い方が勝つとしている(第2の法則)
・強者の戦略=第2の法則、弱者の戦略=第1の法則を活用 |
それぞれの戦略については多くの著書でも紹介はされていますが、企画・マーケティング職志望の方は最低限覚えておきましょう。
戦略策定の流れ
これから説明する『フレームワーク』は、マーケティング戦略を練るためのお作法として使われることが多いです。
ただし、必ずしもフレームワークを用いて戦略を練るすることが『正』ではないですが、客観的に競合と比較して、自社や自分自身の強みや弱みを分析することは重要です。
己を知り、敵を知る。これは企業間の競争だけでなく、個人の就職活動や転職活動に置き換える事もできます。
上図をご覧の通り、戦略を策定する際、段階ごとでそれぞれ使うフレームワークが異なります。戦略的にマーケティングを行うには、正しいタイミングで正しいフレームワークを使って、戦略を練ることが必要です。
それでは、マーケティングを知る第一歩として代表的なフレームワークをいくつか紹介します。
フレームワークについて
今回紹介するフレームワークは、サービスの新規企画を考えるときや自社サービスと競合を比較したときの優位性を知りたいときに使われる場面が多いです。
なぜフレームワークを活用することが多いのか、先ほどの新商品を例にフレームワークを取り入れた場合とそうでない場合を簡単に図で表しました。
フレームワークが有ることで、まず最初にどの要素を検討すべきか可視化できるのが一番のメリットです。
ゼロイチの状態からサービスの企画を考えるのか、すでに商品があり、どういった販路を開拓していくかにもよって、考える要素は全く異なります。
3C分析(ミクロ環境)
- 3C分析:外部環境の市場と競合他社との関係を捉え、自社の戦略に活かす分析をするフレームワークです。チャネルやコスト、協力者を加えて「4C」とするケースも増えてきている。
一般的な3C分析の使い方としては、事業戦略を立案するための現状分析と検証に用いられることが多いです。
外部の協力が必要と判断された場合は、4C分析を使って協力者の補完関係や強みなども検討してください。
SWOT分析
- SWOT分析:「強み」「弱み」「機会」「脅威」から、組織や個人の内外の市場環境を分析するフレームワークです。
一般的なSWOT分析の使い方としては、会社を作るときやゼロイチでサービスを企画・立案するために用いられることが多いです。
クロスSWOT分析
- クロスSWOT分析:『SWOT分析+戦略立案』のフレームワークです。SWOT分析は、自社と自社を取り巻く環境について、良い面、悪い面を分類・整理しただけなので、より戦略的に分析する必要があります。
一般的なクロスSWOT分析の使い方としては、前述したSWOT分析のように創業やゼロイチでサービスを企画するときに用いられます。SWOT分析よりもやるべきこと、やるべきでないことが明確化しやすいです。
特にスタートアップや新規事業に関わる方は、時間やリソースも少ないため、積極化戦略に注力すべきと考えています。
- 機会×強み=「積極化戦略」:機会に自社の強みを投入する。起業直後の創業期のスタートアップベンチャーが第一に考える戦略。
- 脅威×強み=「差別化戦略」:脅威に対して自社の強みで切り抜けていく。
- 機会×弱み=「段階的施策」:機会に対して自社の弱みを克服して、取りこぼしをなく施策。
- 脅威×弱み=「撤退」:最悪の事態を避けることに注力する。もしくはその市場への参入は考えない。
5フォース分析
- 5フォース分析:競争要因別(5F)に競争相手および競争基準を明確にするためのフレームワークです。業界そのものの魅力度やプレイヤー間の力関係を評価するのに有効です。
STP分析
- STP分析:セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の頭文字を取り、市場のニーズを満たす価値軸に対して自社の優位な位置づけや自社商品のポジションを決めるためのフレームワークです。
- セグメンテーション(Segmentation):市場を細分化して戦う市場を決める
- ターゲティング(Targeting):ターゲット顧客層を決める
- ポジショニング(Positioning):自社の立ち位置を明確にし、独自性や優位性を決める
それでは、それぞれどのように選定するかを図で説明します
セグメンテーション
セグメンテーションを行う際は、できる限り細かく分割することが求められます。そうすることで、ターゲティングの際に明確なニーズが見つけやすくなります。
ターゲティング
ターゲティングを行う際は、『市場規模』『自社の強み』『ライフサイクル』『参入障壁』『競合の戦略』『環境要因』の6つの基準で考えることで、より効果的な市場を選ぶことができます。
ポジショニング
ポジショニングを行う際は、顧客に対して自社サービスと他社との違いをアピールするための方法を考えることです。
ポジションマップ
STP分析で最終的に見たい分析結果としては、ポジションマップと呼ばれる、競合と自社(商品)がどの価値軸で、どういった位置関係にいるかが分かれば問題ありません。
4P
- 4P:Product(商品)、Price(価格)、Place(場所/流通)、Promotion(プロモーション)の4つの戦略を組み合わせて最大の効果を目指していくためのフレームワークです。
価格を決めるときは、支払期間、支払条件、月額会員制など顧客に対して、いくらでどのように支払ってもらうかも検討するとよりビジネスモデルが明確化されます。
4C
- 4C:Customer Value(顧客にとっての価値)、 Cost to the Customer(顧客の負担)、Convenience(入手の容易性)、 Communication(コミュニケーション)の4つの戦略を組み合わせて最大の効果を目指していくためのフレームワークです。
4Cまで落とし込めれば、市場の適性とユーザーのニーズが合致している企画が生まれているはずです。
4Pと4Cはそれぞれ顧客側の視点、企業側の視点として使われますので、画像を参考に何と何を比較すべきか参考にしてください。
まとめ
- マーケティングとは、売れる仕組みを戦略的に作ること
- マーケティングを分解すると、『誰に(ターゲット)』『何を(商品)』『いつ(タイミング)』『どこで(コンタクトポイント)』『どうやって(表現、手法、企画)』『どうしたいか(目標設定)』を考えること
- 戦略は、目標達成に向けて最善かつ最適な道すじを明確にし、実行すること
- 代表的な戦略には『ニッチ戦略』『ブルーオーシャン戦略』『ランチェスター戦略』が挙げられる
- マーケティング戦略を考えるときは、フレームワークを使って具体的にする
- 代表的なフレームワークには『3C分析(ミクロ環境)』『SWOT分析』『クロスSWOT分析』『5フォース分析』『STP分析』『4P』『4C』が挙げられる
マーケティングの基本について図解を用いて説明させていただきました。
市場調査の結果報告や企画書を出すときにこれからのフレームワークを使えば、説得力のある資料にすることもできます。
データの根拠や市場の将来性を示したいときにフレームワークは大活躍しますので、ぜひ使い倒してみてください。
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