ビジネスマンが身につけるべきスキル(三種の神器)として『英語』『IT』『会計』が挙げられることが多いですが、具体的になぜ必要とされているかを考えたことありますでしょうか。
義務教育でも外国語やプログラミングが採用されていることから、英語やITが必要とされる理由は分かると思います。今回注目したいのは『会計』についてです。
会計というと会社の財務部や経理部が担当する専門分野の領域で、私の業務には関係ない!と思う方も多いと思います。
結論、会計の知識は営業やエンジニア、デザイナー、マーケーター、事務職など職種に関わらず、ビジネスマン全員が備えておくべき必須スキルだと考えており、多くのビジネスシーンで見かけます。
このようにビジネスの現場でお金にまつわるほとんどの話は会計が絡んでます。
そんな会計は大きく分けて『財務会計』と『管理会計』に区別されますが、こちらの記事では財務会計に分類される『決算(書)』の見方について説明します。
会社には多くの利害関係者が関わり、大きなお金が流れています。このお金の流れを一定のルールにしたがってまとめたものが決算書です。そして、会社の良し悪しを判断する指標が「経営指標」であり、「会社の数字」です。
決算書の見方を理解することで、企業の業績や状態が一目で分かるようになり、今まで見えなかった企業の課題なども数字から分かるようになります。
決算をわかりやすく理解してもらえるようにイラストや図解で説明しています。
決算書とはそもそも何?投資活動、資金調達、営業活動を理解しよう!
よくニュースなどでも取り上げられますが、「〇〇会社の決算が発表されました!売上が△億円で、赤字が▲円です。投資額は〜」など、上場会社は1Q(四半期)ごとに株主や投資家、消費者などに向けて自社の業績を発表する義務があります。
業績を発表するために、損益計算書(PL)、賃借対象表(BS)、キャッシュフロー計算書(CS)と呼ばれる資料をまとめます。いわば会社の成績表とも言えるのが、決算書になります。
決算書を見ると数字や文字が表やグラフでまとめられていますが、初見の方からするとどの項目が何の数字を意味しているかよく分からないと思います。
企業活動におけるお金の流れとして大きく3つに分類され、『投資活動』、『資金調達』、『営業活動』があります。
- 投資活動:会社のお金をどのように使ったかを示します。貸借対照表とキャッシュフロー計算書にその記載があります。
- 資金調達:どうやってお金を集めてきたかを示します。貸借対照表とキャッシュフロー計算書にその記載があります。
- 営業活動:本業での活動を示します。損益計算書とキャッシュフロー計算書にその記載があります。
決算書は、会社の業績がわかる『損益計算書(PL)』、会社の財産がわかる『貸借対照表(BS)』、会社のお金の動きがわかる『キャッシュフロー計算書(CF)』の3つの書類を読み解ければ理解できます。
今回は例として東証一部上場企業の(株)サイバーエージェントさんの決算書を参考に簡単に説明します。
PL(損益計算書)とは?会社の業績が一目でわかる!
決算書でも資料の最初に見られることが多いのが、損益計算書(PL)です。
このPLでは『売上』『費用』『利益』がわかり、それぞれどれだけ売上を出して、何にいくら使い、最終的にいくら儲けることができたのかが分かります。
上図の左の項目を見ると、緑の枠に売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のそれぞれの数字がまとめられています。
決算書には必ず記載されている必須項目です。上から下へ見ていくと最終的にその期間にどれだけ利益が出たか表しています。
サイバーエージェントさんの2019年10月-12月期の場合、売上は1,150億円以上あり、最終的には14億5,600万円の利益。つまり、黒字となっています。
- 損益計算書(PL):会社の業績が一目でわかる
損益計算書(PL)をより深く理解されたい方は、こちらの記事をご覧ください。
BS(貸借対照表)とは?会社の財産が一目でわかる!
続いて、貸借対照表(BS)ではその会社の『資産』『負債』『純資産』が分かります。
- 資産:会社がどれだけお金に代わる資産を持っているか(パソコンやデスクなども)
- 負債:会社のがいくら借金しているか
- 純資産:いくら株主から資金を集めたのか、会社の貯金があるのか
損益計算書(PL)と同様、左の項目に現預金や各負債、純資産が記載されています。上図の場合は2019年10月-12月期の場合のBSになります。
2018年12月期と比べると純資産が7.0%UPしていますので、順調に会社の貯蓄が増えていることが分かります。
- 貸借対照表(BS):会社の財産が一目でわかる
貸借対照表(BS)をより深く理解されたい方は、こちらの記事をご覧ください。
CF(キャッシュフロー計算書)とは?会社のお金の動きが一目でわかる!
最後に、キャッシュフロー計算書(CF)では、会社の現金(キャッシュ)の動きがわかります。上場企業は外部から資本を調達できますので、借りたお金やいくら使ったのかが分かります。
- 営業活動によるキャッシュ・フロー:最終的にどれだけお金が残っているかを示す
- 投資活動によるキャッシュ・フロー:設備投資や資金を増やすための投資を示す
- 財務活動によるキャッシュ・フロー:借り入れたお金の返済状況を示す
上図の左側の項目について簡単にまとめました。FY2019に着目すると△はマイナスを意味しているので、一見あまり良くないよう見えますが、本業で利益を上げながら事業投資や借金の返済をしています。理想のキャッシュフロー計算書です。
この中でもっとも重要な数値になるのが営業活動によるキャッシュ・フローです。いわば会社のキャッシュ(現金)がいくら残っているかを示しているので、経営の健全さがわかる指標にもなります。
- キャッシュフロー計算書(CF):会社のお金の動きが一目でわかる
キャッシュフロー計算書をより深く理解されたい方は、こちらの記事をご覧ください。
決算書はなぜ必要とされているのか
決算書は、いわば会社の成績表になりますので、上場企業であれば、株主・投資家、従業員、銀行、一般消費者に開示する必要があります。
そもそも会社は単独では営業活動ができません。企業を取り巻く利害関係者に対して報告するための資料として決算書が必要です。
- 消費者:お金を支払い商品やサービスを得る
- 従業員:働く場所を得て、生活の安定をはかる
- 金融機関:資金を援助し、手数料を得る
- 出資者:どの会社に投資をするか決める判断材料
- 監査法人:決算書をチェックし、会社の信頼性を担保する
- 地方自治体:税金を徴収し、地域社会に還元する
- 株主:元手を出して、会社の価値の向上を期待する
- 取引先:原材料を販売する。商品を購買する
多くの利害関係者に対して、健全な企業経営を公表するためにも決算書の存在は必要不可欠です。会社の売上規模、利益、費用など、何にいくら使っているかは、各会社で全く異なります。
当然ですが同じ売上規模の会社でも粗利や投資先の対象が全く違うということです。事業分野やビジネスモデル、経営者の手腕にもよりますが、会社の決算書を比較して見るとより明確です。
ベンチャー企業に投資する傾向の会社もあれば、福利厚生や社員の給与などに還元する会社など決算書である程度のことが丸裸にされてしまいます。
まとめ
- 決算書の見方を理解することで、企業の業績や状態が数字で一目で分かるようになる
- 決算書は『損益計算書(PL)』『貸借対照表(BS)』『キャッシュフロー計算書(CF)』の3つを読めるようにする
- 損益計算書(PL)では『売上』『費用』『利益』が分かり、会社の業績が一目でわかる
- 貸借対照表(BS)では『資産』『負債』『純資産』が分かり、会社の財産が一目でわかる
- キャッシュフロー計算書(CF)では会社のお金の動きが一目でわかる
- 決算書は経営者や従業員、投資家、銀行、一般消費者など多く人のから必要とされる資料
基本的な決算書の見方について説明しました。決算書は興味本位で見るだけでも十分に楽しいですが、見方がわかることで取引先や営業先の業績も分かりますし、株式投資に役立てることもできます。
企業ごとの株価の上がり下がりの理由やよくも悪くも企業の状態が決算書から分かります。
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